ご依頼の背景
うつ病や認知症を患っていた両親がたてつづけに亡くなった。相続人は、依頼者と妹の二人兄妹である。
相手方の妹は、両親と同居しており、預貯金や生命保険金を使い込んでいた。相続財産は他に、土地と建物(300坪+自宅+賃貸駐車場)があり、これらは残っているが、預貯金はすでにほとんど使われていた。
依頼人の主張
妹の使い込みによって預貯金がほとんどなく、開示もしてもらえず、残っているとわかっているのは土地建物と債務。これらを二人でどのように遺産分割すればいいのかわからない。相手は、自宅を建ててもらったり、借金を親に立て替えてもらった過去がある。相手に誠意がないので話し合いが進まず、折り合いがつかないため、代わりに交渉して解決まで導いて欲しい。また、相手が両親の財産を費消していると思われるため、これを考慮した遺産分割をしたい。
サポートの流れ
同居していた相手方へ、相続財産の開示を請求したが、拒否された。そこで銀行へ口座照会をかけたところ、多額の出金履歴があった。うつ病と認知症で入院していたはずの親が、口座から頻繁に出金するような金銭管理を行うとは思えず追及したところ、相手方は自分が引き出したと認めた。しかし金銭はすでに費消していた。両親には年金収入があったはずだが、なぜか各所の費用を滞納している状態であった。
依頼者から相手方への損害賠償額は相続財産よりも上回っており、すべての相続財産を依頼者が取得するよう解決案を提案したが、相手は法定相続を譲らず、使途不明金の行方も回答されなかった。そのため、損害賠償及び不当利得の訴訟を提起した。その訴訟の中で、相手の両親の財産の不正使用が明らかになり始め、数度の折衝をしたうえで、裁判所の提案を受け入れて和解した。
結果
相手方は財産について費消しており、支払能力がない。そのため、調停条項で、価値のある不動産を依頼者が取得することと、債務の負担についてや、支払義務について相手に認めさせ、抵当権の設定も記載することで、金銭での代償に代えた。