遺留分が侵害された場合、遺留分侵害額請求を行うことで自身に認められた遺留分を取り戻すことができます。
遺留分がどのぐらい認められているかは相続人の立場によって異なるため、自身の遺留分割合と計算方法については事前に理解しておきましょう。
今回は、遺留分割合と計算方法について詳しくお伝えします。
遺留分の割合について
一部の相続人に認められている遺留分の割合については、相続人の組み合わせに応じて次のように規定されています。
- 相続人が配偶者のみの場合:1/2
- 相続人が子供のみの場合:1/2
- 相続人が配偶者と子供の場合:各1/4
- 相続人が配偶者と直系尊属(両親、祖父母など)の場合:配偶者1/3 直系尊属1/6
- 相続人が直系尊属だけの場合:1/3
遺留分は残される相続人の生活を保護する目的があることから、遺言書による指定相続分が遺留分を侵害する場合については、侵害した分を返還するよう請求することができます。
遺留分の返還を求めることを、遺留分侵害額請求といいますが、このほどの民法改正によって、遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求へと変更されることになりました。
遺留分侵害額請求とは?
遺留分侵害額請求をすれば、侵害された部分の財産について返還してもらうことができましたが、この際に返還を請求できるのは、あくまで「現物」に限定されていました。
仮に遺留分の対象が不動産だとすると、不動産という現物の一部の返還を請求することしかできないため、現実的には分割することが難しかったり、分割することで著しく資産価値が低下するようなケースもありました。
改正民法は、実務上のこのような不都合を見直すために、遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求に変更したという背景があります。
遺留分侵害額請求は金銭のみ
遺留分という権利は法律で保護しているものの、実務的に実現が難しかった状況を改善するために、返還請求の対象物が「現物のみ」という制度から「侵害額に相当する金銭のみ」という制度に変更となりました。
これまでは、不動産が遺留分の対象であれば不動産の一部の返還請求しかできませんでしたが、今後は侵害額に相当する金額を侵害した人に対して請求するという金銭債権になりましたので、よりスムーズに解決できる可能性が高まることが期待されます。
遺留分侵害額の計算は難しいからこそ弁護士に依頼する必要性は高い
遺留分を取り戻すためには、相手方に対して内容証明郵便などで請求したうえで、直接交渉することになります。
手続き自体は非常にシンプルに見えますが、実は遺留分侵害額請求を自分でやろうとすると非常に大変なのが、侵害額の計算です。
遺留分をいくら侵害しているのかを正確に計算するためには、次の2点について調査しなければなりません。
- 相続財産の範囲
- 相続財産の評価
相続財産は遺産分割開始時点に存在するものだけとは限りません。
例えば、亡くなられた人から生前に多額の贈与を受けている相続人がいる場合については、「特別受益」に該当する可能性が出てくるため、相続財産に持ち戻して計算する必要が出てきます。
預金財産だけであれば、銀行の残高証明書を見ればよいのですが、不動産や株式等が相続財産に含まれる場合については、別途複雑な計算をして評価額を算出しなければなりません。
評価額の計算が違っていると、遺留分の金額も違ってきてしまうため、慎重に計算する必要があります。
遺留分侵害請求でお悩みの方はお早めにご相談ください
遺留分侵害額請求をするための侵害額の計算は、一般の方にとって非常に難しく、間違いやすい部分です。
時間をかけて対応したいところですが、遺留分侵害額請求については、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ってから1年で時効にかかってしまうため、ゆっくりもしていられません。
当事務所にご相談いただければ、遺留分や侵害額の計算、更には相手方との直接交渉など、すべて含めて担当弁護士が対応いたしますのでとても安心です。
弁護士が算出した侵害額であれば、相手方の理解も得やすくなり、早期解決の可能性が高まりますので、ご自身で無理をせず、お早めに当事務所までご相談ください。