相続が発生した際に、プラスの財産よりも借金などのマイナスの財産の方が多い場合については、家庭裁判所で相続放棄の手続きをすることによって、借金の相続を回避することができます。
ところが、相続放棄はしたものの、さまざまな事情からやっぱり相続放棄を取り消したい、撤回したいというご相談をいただくことも少なくありません。
今回は、相続放棄の取り消しや撤回ができるケースについて詳しく解説します。
相続放棄は原則的に取り消しや撤回はできない
相続放棄をすると、同順位の相続人がいる場合はその方だけが相続人となり、同順位の相続人がおらず次順位の相続人がいる場合はその方が相続人となるため、後から取り消しや撤回ができるとしてしまうと大きな不都合が生じます。
そのため、相続放棄については原則として取り消しや撤回はできず、民法でも次のように規定されています。
【第919条】相続の承認及び放棄は、第915条第1項の期間内でも、撤回することができない。
2.前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。
例外として取り消し相続放棄を撤回できるケースもある
後で相続放棄を撤回したいと思わなくて済むよう、申し立てを行う前に入念な財産調査が求められます。
ただし、次のケースについては、例外的に相続放棄の取り消し、撤回が認められる可能性があります。
相続放棄の申述が受理される前
相続放棄の申述書を家庭裁判所に提出すると、本人宛に照会書が郵送され、次のような点について再度確認されます。
- 相続放棄の申述が自分自身の意思であるか
- 相続放棄をする理由は何
- すでに相続財産を処分、消費していないか
- 相続放棄をする意思に変わりがないか
これらの項目について記載して回答した上で、家庭裁判所が相続放棄を受理するかどうかを判断します。
照会書を提出する前の段階であれば、相続放棄の申述は正式には受理されていないため、取り下げて撤回することが可能です。
詐欺や脅迫などで圧力をかけられた場合
他の相続人から相続財産に借金しかないと言われて相続放棄したが、実際にはプラスの財産が多かった場合や、相続放棄をするよう脅迫されるなど圧力をかけられたような場合については、例外的に相続放棄の取り消しが認められる場合があります。
相続放棄をするよう圧力をかけられたら
相続放棄を強要するような圧力をかけられている場合は、すぐにでも当事務所にご相談ください。
相続放棄をしてしまうと、一切の相続権がなくなってしまいますし、後から取り消し、撤回をすることは簡単ではありません。
相続放棄をする前にご相談いただければ、当事務所の弁護士がご依頼者様に代わって窓口となりますので、圧力に負けて相続放棄をする必要もなくなり、正当な相続分を獲得することが可能になります。
上記以外にも、稀なケースですが以下のような場合については相続放棄の取り消しや撤回が認められる可能性があります。
- 未成年者が法定代理人の同意なしに相続放棄した場合
- 成年被後見人本人が相続放棄した場合
- 後見監督人がいる場合において、被後見人もしくは後見人が後見監督人の同意なしに相続放棄した場合
- 被保佐人が保佐人の同意なしに相続放棄した場合
相続放棄の取り消し、撤回は当事務所までご相談ください
相続放棄の取り消し、撤回は例外的に認められる可能性が残されています。
ただ、現実問題としては相続放棄を受理する前段階で家庭裁判所が入念に意思確認を行っているため、ご本人が取り消しや撤回を申し出ただけでは、簡単に認められません。
「他の相続人に騙された」「脅されて仕方なく相続放棄した」といった事情がある方は、すぐにでも当事務所にご相談ください。
当事務所の弁護士が、相続放棄を取り消し撤回するに至った事情について詳しくお伺いし、その事情を家庭裁判所に主張立証できるよう徹底的にサポートいたします。
相続放棄をする前に当事務所までご相談を
相続放棄の取り消し撤回は、例外規定があるものの、認めてもらうことはそう簡単ではありませんので、できる限りそのような事態に陥らないよう、早くから弁護士にご相談いただくことを強くおすすめします。
他の相続人が主張している財産内容が本当に正しいのか、ご本人では確認することが難しいケースもあります。
当事務所にご相談いただければ、弁護士が代理人となって対応しますので、正しい情報をもとに相続放棄をするかどうか判断することが可能です。